ppb - Paldio Phone Book v0.1
for HP 200LX / FreeBSD + Paldio611S
− PHSの電話帳を読み書きする −
Copyright (C) 1998 by Dai ISHIJIMA
☆はじめに
最近のNTT DoCoMoのPHS端末には、電話帳交換機能が内蔵されており、
Windows パソコンに接続して電話帳のデータをパソコンで編集すること
ができます。PHS ともども普段から持ち歩いているPCでこれと同じこと
ができたら便利だなぁと思って作ったのがこのプログラムです。
PHS端末の取扱説明書には、
誤操作・電気的雑音・故障・修理など
によって、登録した電話帳の内容が変化・消失する場合があります。電
話帳に登録した内容は必ず紙などに控えておいてください
といった断り書きが載っています。
しかし、PHSの小さなダイヤルボタンを操作し
て電話帳の内容をいちいち紙に転記するのは面倒ですし、それより何よ
り、電話帳に電話番号を入力すること自体も件数が多いと大変です。
このプログラムがこれらの「めんどくさい」ことの解消につながると
うれしいです。
☆旧版からの変更点
変更点は以下のとおりです。
- 電話帳への書き込みに対応した
- 第二電話番号、CMC番号も読み書きできるようにした
(ただし、作者自身はこれらの機能を使っていないので、
バグがたくさん残っているかもしれません)
- 付録として電話番号変換スクリプトを同梱した
(これもバグがあるかもしれません)
☆使用上の注意
このプログラムの運用によって生じる結果について、作者は一切の責
任を負いません。最悪の場合、
- 電話帳データ、その他の設定がすべて消えてしまう
- PHS端末がハングアップして完全に使用不能になってしまう
- このプログラムを走らせたLXのデータがすべて消えてしまう
などの事態も予想されます。これらの危険があることを了解された方の
みご使用ください。
☆動作環境
このプログラムはHP 200LXならびにFreeBSDで動きます。 対象とする
PHS端末はNTT DoCoMoのシャープ製パルディオ611Sです。他のPHS端末お
よびPIAFSデータカードでは動かないばかりか、 端末ならびにデータカ
ードにとりかえしのつかないダメージを与えてしまうかも知れません。
少なくとも、パルディオ314SとDC-1Pの組合せでは動作しませんでした。
NTT DoCoMoが配布している「パルディオ電話帳エディタ」が対象として
いるPHS端末およびデータカード以外ではまず動作しないと思います。
なお、ppb v0.0 では、341Sと 331P+DC-2Sの組合せでも動作するとい
う報告をいただきました。
☆アーカイブファイルの中身
配布アーカイブファイル ppb01.lzh には、
- readme.txt
- このファイル
- hosoku.txt
- ライブラリ登録時の補足説明
- ppb.exe
- 200LX用実行形式ファイル
- ppb.h
- 実行形式ファイルを作るためのソースファイル
- ppb.c
- 同上
- tty.c
- 同上
- tty_at.c
- 同上
- makefile
- ソースファイルから実行形式を作るためのメイク
ファイル (LX, Turbo C++ 1.0 2nd Edition用)
- makefile.bsd
- 同上 (FreeBSD用)
- newnum.sed
- 1999年1月1日以降用電話番号変更sedスクリプト
が入っています。200LXで使う場合は、ppb.exeを解凍して、パスの通っ
たディレクトリに置いてください。 FreeBSDで使う場合はmakefile.bsd
を使ってコンパイルし、 実行形式ファイル (ppb) をパスの通ったディ
レクトリに置いてください。
☆使用方法
使用時の書式は、
ppb [-速度] [[-r] [-R] -w 電話帳データファイル] [PHS接続ポート]
です。オプションをすべて省略した場合は、デフォルトの接続ポートを
使って9600bpsでPHSに接続し、電話帳を読みとります。デフォルトの接
続ポートは、200LXでは「COM2:」になります。つまりすべてのオプショ
ンを省略した場合は、
ppb -9600 com2:
と同じになります。
PHSとの通信速度は、速度の前に「-」をつけて「-38400」のように指
定することができますが、通信に要する時間より PHS側の処理時間が長
くかかるので、あまり速くしても意味がありません。デフォルトのまま
(-9600) でいいと思います。読みこんだデータに文字化けなどが発生す
るようなら、「-2400」などを指定して速度を落してみてください。
電話帳にデータを登録する場合は、登録したいデータ書き込んだファ
イルを用意してから「-w ファイル名」をつけてppbを起動してください。
ファイルの形式については次項「電話帳データファイル」をごらんくだ
さい。
電話帳への登録は「破壊的書き込み」で行われます。つまり、以前に
登録してあったデータをすべて消去してから書き込みます。このため、
書き込み前に電話帳データを読みとるようにしています。この動作が不
要な場合は「-r」オプションを指定してください。
電話帳への登録が終ると、確認のために再度読みとりを行います。こ
の動作が不要な場合は「-R」オプションを指定してください。
オプションをまとめると以下のようになります。
-数値 PHSとの通信速度を指定した数値にします。
-w ファイル ファイルに書かれた電話帳をPHSに書き込みます。
ファイルとして「-」を指定した場合は、
標準入力を使います。
-r 書き込み前の読みとりを行いません。
-R 書き込み後の読みとりを行いません。
なお、他の通信ソフト同様、システムマネージャの配下ではない、い
わゆる「生DOS」で使ってください。また、PHSとデータカードが使える
ようにドライバソフト (cic100など) の確認もお忘れなく。もちろん、
「maxdos」や「cicfake」環境でも大丈夫だと思います。
☆使用例
以下に使用例を示します。
200LXでPHSの電話帳を表示する場合
C:\>ppb
~~~
電話帳に登録されているデータをファイルに落す場合
C:\>ppb > phone.txt
~~~~~~~~~~~~~~~
ファイルに書かれたデータを電話帳に登録する場合
C:\>ppb -w phone.txt
~~~~~~~~~~~~~~~~
登録されているデータを保存し、その後ファイルのデータを登録する場合
C:\>ppb -R -w phone.txt > phone.bak
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
単に書き込みだけを行う場合
C:\>ppb -r -R -w phone.txt
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
FreeBSDでの使用例
% ppb /dev/ttyd2 | nkf > phone.txt
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
% nkf -s phone.txt | ppb -r -R -w - /dev/ttyd2
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
など。
いずれの場合も、下線部を入力します (行頭の「C:\>」などは入力しま
せん)。
☆電話帳データファイル
電話帳データファイルは、電話帳のデータを並べたテキストファイル
です。このファイルには一行に一件ずつの情報を記述します。各行には
名前
ソート用読み
第一電話番号
第二電話番号
CMC番号
登録グループ
の 6つの項目を空白文字 (スペースかタブ) で区切って記述します。名
前や読みなどの各項目に空白文字を含めることはできません。
なお、ppb の出力も同じ形式です。電話帳に登録するファイルを作成
するときは、一度 ppbの出力をファイルに保存し、それを雛型にするこ
とをお勧めします。
「#」、「;」、「%」で始まっている行はコメント行です。 コメント
行と空行は無視されます。
第二電話番号、CMC番号を使わないときは、当該項目として「-」を指
定します。
☆よくある質問とその回答
- Q
- 611Sでしか動かないのですか?
- A
- 作者は611Sしか持ってないので、他の端末のことはわかりません。
旧版は341Sや331P+DC-2Sでの動作報告をいただいています。
ただし、611S以外で書き込みまでできるかどうかは、このドキュメ
ントを書いている段階では全くわかりません。
- Q
- 「can't connect to PHS (I/F disabled?)」というメッセージが出
て電話帳にアクセスできません。
- A
- PHSとLXの接続を確認してください。
内蔵アプリケーションのDataCommから、PHSとデータカードにちゃ
んとアクセスできますか? CIC100などのカードイネーブラは正しく
インストールされていますか? DataCommからアクセスできないPHS
は ppbでもアクセスできません。
- Q
- 「can't get MAKERCODE」というメッセージが出て電話帳にアクセス
できません。
- A
- そのPHSとデータカードは「パルディオ電話帳エディタ」に対応して
いますか? 「パルディオ電話帳エディタ」に対応していないPHSと
データカードの組合せには、ppb は使えません。
- Q
- 「unknown MAKERCODE」や「unknown FORMAT」というメッセージが…
- A
- そのPHSは、作者が使っているPHSと互換性がないモデルのようです。
残念ですが、ppb は使えません。
- Q
- 「パルディオ電話帳エディタ」はちゃんと動くのにppbは動きません。
- A
- そのPHSは、作者が使っているPHSと互換性がないモデルのようです。
残念ですが、ppb は使えません。
- Q
- 正しい作法を教えてください。
- A
-
- LXの電源を切ります。
- PHSをLXに接続します。
- LXとPHSの電源を入れます。
- DataCommを動かし、ATコマンドに反応することを確認します。
- DataCommを終了し、システムマネージャも終了して
生DOSに降ります。
- ppbを起動します。
以上:-)。
- Q
- LXやUNIXでしか動かないのですか?
- A
- 機種依存ルーチンは拙作lxfs4dとほぼ同じなので、IBM PC/XT互換機
でPCカードスロットが使えるDOSなら動くのではないかと思います。
tty_at.cを差し替えれば、PC-9801互換機でも動くかもしれません。
でも、試してないのでわかりません。
☆バグ
- 200LXの電話帳ファイル (*.pdb) を直接扱うことはできません。
- CSVファイルを扱うこともできません。
- JIS X0208、JIS X0201で規定されない文字や記号を電話帳に登録し
た場合の動作は保証されません。
- 名前やよみなどの項目に空白文字があると書き込みに失敗します。
- 書き込み時にファイルの記述内容のチェックを全くしていません。
- 話中や操作中など、PHSが待ち受け状態でないときは使えません。
- 読み書きには案外時間がかかります (一件あたり2〜5秒程度)。
☆おことわり
このプログラムは (狭義の) フリーソフトウェアです。パブリックド
メインソフトウェア (PDS)、シェアウェアではありません。このプログ
ラムの著作権は、作者である いしじま☆だい
が所有しています。
このプログラムの運用によって生じた結果については一切責任を負い
かねますのでご了承ください。使用前にはディスクのバックアップをと
ったり、電話帳のデータを紙などに書き写したほうがいいかもしれませ
ん (これでは本末転倒ですねぇ ;^^)。
このプログラムの全部、または一部をそのまま利用して商用目的のプ
ログラムを作成することはご遠慮ください。
フリーソフトウェアの作成や個人的な範囲での利用が目的の場合は、
このプログラムの全部、または一部をそのまま利用してもかまいません。
他機種への移植や他のオペレーティングシステムへの移植およびフリー
ソフトウェアとしての公開は大歓迎です。その場合、作者への連絡は不
要です。 (でも、報告してくれたり、ドキュメントに一筆書いてくれた
り、さらには、そのソフトのソースを公開してもらえると非常にうれし
いです。)
このプログラムを再配布する場合は、アーカイブファイル ppb01.lzh
に含まれるすべてのファイルを変更せずにそのまま配布してください。
このプログラムを BBSや anonymous ftpなどで再配布する場合は電子メ
ールなどでご連絡いただけるとありがたいです。
☆参考文献
- みゅうさん作の「maxdos」
FHPPC LIB(7)#553 MAXDOS03B.LZH maxdos Ver.0.3.7
- 関谷博之さん作の「CICfake」
FHPPC LIB(7)#858 CICFAKE.LZH 解除可能なモデムイネーブラ
- パルディオ611Sの取扱説明書
- NTTパーソナル中央で配布していた「パルディオ電話帳エディタ」
(現在は http://www.nttdocomo.co.jp/products/phs/mobile/a-index.html
で配布しているようです)
- NTTドコモ関西の「64kデータ通信モニター募集告知」のページ,
http://www.nikkei-r.co.jp/docomo/monitor/
- ZD Netの「『パルディオ電話帳エディタ』の紹介記事」のページ,
http://www.zdnet.co.jp/magazine/mobilepc/9812/qa1-1.html
Paldio Phone Book v0.1 - Copyright (C) 1998 by Dai ISHIJIMA