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PXEブート
初版: 2005-06-25
最終更新日:
2005-06-25
PXEブートによる『wipe-out』の利用
●新バージョンご紹介
公開以来、ご好評をいただいております
拙作『wipe-out』ですが、
多数のPCについてデータ消去を行う際には、
- フロッピー版を利用する
- 必要な枚数だけCD-Rを用意する
という対応をしていただく必要がありました。
今回、2005年に新たに公開した『wipe-outバージョン0.5』では、
学校などの教育機関や企業などで
多数のPCについてデータを消去する際に、
もっと便利に使っていただけるように改良を行いました。
●新バージョンの特徴
今回公開した『wipe-outバージョン0.5 CD-ROM版』には、
次のような特徴があります。
-
メインメニューが表示された時点で、
CD-ROMの取り出しを可能とし、
一枚のCDを多数のPCで使いまわすことができる
-
PXEブートに対応し、
DHCP/TFTP/NFSサーバを一台用意すれば、
多数のPXEブート対応クライアントのデータを
同時に消去可能
これらの特徴を活かし、多数のPCを導入した現場で、
廃棄前のデータ消去の手間を減らしました。
なお、これらの機能の実現のため、
配布イメージファイルのサイズは大きくなっています。
上記特徴以外については、機能差はありませんので、
これらが必要でない際は、従来バージョンをお使いいただくことも可能です。
●PXEブートのための準備
PXEブートとは、
ネットワーク経由でブートストラップやOSをダウンロードして、
そのパソコン自身には格納されていないOSをブートする手段です。
ブート時には、
- DHCPでIPアドレスの割り当てを受ける
- ブートストラップコードの場所をDHCPで通知してもらう
- 通知されたブートストラップコードをTFTPでダウンロードする
- ブートストラップコードを動かす
- ブートストラップコードは、NFS経由でカーネルをロードする
という手順がとられます。
これらの手順から、
『wipe-out』をPXEブートで利用するためには、
DHCP/TFTP/NFSサーバを用意する必要があります。
次にFreeBSDマシンを使って、
PXEブート用のDHCP/TFTP/NFSサーバを設定する方法を説明します。
なお、PXEとは「Preboot eXecution Environment」の略で、
インテルが策定したネットワークブートの規格だそうです。
●PXEブート用サーバの設定
ここでは、IPアドレスが192.168.1.1のFreeBSDマシンで、
DHCP/TFTP/NFSサーバを設定する方法を説明します。
IPアドレスその他の設定については、
みなさんがお使いの環境にあわせて、適宜読み替えてください。
DHCPサーバの設定
あらかじめ、isc-dhcpdをports/packagesなどでインストールしておきます。
そして、dhcpd.confに以下のような設定を書き込みます。
server-identifier 192.168.1.1;
option domain-name "hogehoge.jp";
option domain-name-servers 192.168.1.1;
default-lease-time 3600;
max-lease-time 7200;
ddns-update-style none;
subnet 192.168.1.0 netmask 255.255.255.0 {
range 192.168.1.2 192.168.1.254;
option routers 192.168.1.1;
filename "pxeboot";
option root-path "192.168.1.1:/cdrom";
}
|
「server-identifier」には、サーバ自身のIPアドレスを設定します。
「filename」には、TFTPでダウンロードする
PXEブート用のブートストラップコードのファイル名を設定します。
「option root-path」には、
NFSでマウントするルートファイルシステムを設定します。
TFTPの設定
TFTPの設定は、/etc/inetd.confで行います。
このファイルの「tftp」行を以下のように設定します。
これによって、『wipe-out』CD-ROMのboot/pxebootが
ブートストラップとしてダウンロードできるようになります。
tftp dgram udp wait root /usr/libexec/tftpd tftpd -l -s /cdrom/boot
|
NFSの設定
/etc/exportsに以下の設定を加え、『wipe-out』CD-ROMをNFSで公開します。
/cdrom -network 192.168.1.0 -mask 255.255.255.0
|
/etc/rc.confに以下の設定を加え、リブート時にNFSサーバを起動するようにします。
nfs_server_enable="YES"
portmap_enable="YES"
|
サーバの起動
これらの設定が終わったら、リブートするか、
各種サーバを手動で再起動するなどします。
そして、PXEブート対応版『wipe-out』のCD-ROMをマウントしておきます。
●PXEブートを使ってみる
サーバ側の設定がすんだら、
データを消去したいパソコンをPXEブートしてみましょう。
サーバから必要なファイルが読み込まれ、
『wipe-out』が動きだすはずです。
●関連リンク